緑と風と光の家
こういった敷地の特徴を最大限に生かす様設計は進められた。まず,敷地角には道路に沿った大谷石の形を写してコーナーの丸いL型の壁が建てられ,これに桜並木の景色を切り取る様,大きなピクチャーウィンドウを開けることにした。
そしてこのL型の壁沿いに2層の細長い吹き抜けを設け,上部にはトップライト,壁の両端には,2層の高さの通風用スリットを設けた。
リビングでこのL型壁の前に立つと,明るく照らし出された桜並木の緑が目に飛び込み,トップライトからの光とスリットからの風が祝福してくれる。
振り返って隣の家の方に目を向けると,親戚の緑に溢れた空間まで,幾つもの空間がレイヤーとなって重なり合いながら連続し,昔からここにあった緑の空間全体で包み込んでくれる。
この最初のレイヤーはガラスとステンレスの飾り棚で,ここに緑が写り込み増幅される。この棚の向こうの次のレイヤーは,インナーバルコニーで,玄関と階段室の役割を担う。外に出ると西側にはパーゴラがあり,インナーバルコニーの空間をさらに外に連続させ,入り口の外部空間を形成する。
このパーゴラ下の空間は,地区計画に規定される隣地から1mセットバックした所にある高さ1.2mのコンクリートの塀と,植栽帯で構成されるレイヤーで緩く枠取りされ,隣家の緑へと受け継がれている。
2階の寝室は1階から立ち上がるL型壁と細い吹き抜けに囲まれ,桜並木を愛でる為のバルコニーがこの吹き抜けを渡って外へと開かれている。南側は唐紙の貼られた屏風折戸で仕切られ,開ければ爽やかな風と光に満たされる。
この地の特性を引き出そうと設計を続けたが,最後には,風通しの良い高台に緑溢れるこの田園都市の理念そのものが,強く反映された家となっていることに気づいた。
あたかも緑陰の中のフォリーで寛ぐように。
敷地は道路に接して造られた大谷石の擁壁の上にあり,東面は大きく梢を延ばした桜並木に面している。
こういった敷地の特徴を最大限に生かす様設計は進められた。まず,敷地角には道路に沿った大谷石の形を写してコーナーの丸いL型の壁が建てられ,これに桜並木の景色を切り取る様,大きなピクチャーウィンドウを開けることにした。
そしてこのL型の壁沿いに2層の細長い吹き抜けを設け,上部にはトップライト,壁の両端には,2層の高さの通風用スリットを設けた。
リビングでこのL型壁の前に立つと,明るく照らし出された桜並木の緑が目に飛び込み,トップライトからの光とスリットからの風が祝福してくれる。
振り返って隣の家の方に目を向けると,親戚の緑に溢れた空間まで,幾つもの空間がレイヤーとなって重なり合いながら連続し,昔からここにあった緑の空間全体で包み込んでくれる。
この最初のレイヤーはガラスとステンレスの飾り棚で,ここに緑が写り込み増幅される。この棚の向こうの次のレイヤーは,インナーバルコニーで,玄関と階段室の役割を担う。外に出ると西側にはパーゴラがあり,インナーバルコニーの空間をさらに外に連続させ,入り口の外部空間を形成する。
このパーゴラ下の空間は,地区計画に規定される隣地から1mセットバックした所にある高さ1.2mのコンクリートの塀と,植栽帯で構成されるレイヤーで緩く枠取りされ,隣家の緑へと受け継がれている。
2階の寝室は1階から立ち上がるL型壁と細い吹き抜けに囲まれ,桜並木を愛でる為のバルコニーがこの吹き抜けを渡って外へと開かれている。南側は唐紙の貼られた屏風折戸で仕切られ,開ければ爽やかな風と光に満たされる。
この地の特性を引き出そうと設計を続けたが,最後には,風通しの良い高台に緑溢れるこの田園都市の理念そのものが,強く反映された家となっていることに気づいた。
あたかも緑陰の中のフォリーで寛ぐように。
- 所在地:
- 東京都大田区
- 用途:
- 専用住宅
- 構造:
- 鉄筋コンクリート造
- 延床面積:
- 145.31m²
- 設計:
- 矢板建築設計研究所
- 統括:
- 矢板久明 矢板直子
- 担当:
- 栗原佳子
- 構造設計:
- 構造計画プラス・ワン
- 設備設計:
- 島津設計
- 施工:
- 大同工業
- 写真:
- 小川重雄
* 矢板建築設計研究所
雑誌掲載
・新建築住宅特集 2014年07月
・ディテール 2015年 11月号別冊
時間を織り込む住宅設計術
・ディテール 2017年 夏季号
サイト掲載
・This is paper